サパのフリンジ織り 全体
The Story
買付の話
「悪いものは房に絡まって、家の中に入れない」
サパの朝市は、霧の中から始まる。標高千五百メートル。棚田の縁の町に、週末だけ高地の村から織り手たちが降りてくる。
この織りは、赤ザオの母娘が二人で織ったもの。緯糸に手紡ぎのウールを使っていて、光の角度で赤の深さが変わる。端の長い房(フリンジ)は飾りではない。「悪いものは房に絡まって、家の中に入れない」と娘のほうが教えてくれた。
壁に掛けてもいいし、ソファの背に掛けてもいい。房が揺れるたび、霧の市場の朝を思い出してほしい。
小説『君に聞かせる世界の話』第八巻・第五章、山の市場の場面に出てくる織物は、これのことだ。
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